労働力人口の減少と採用競争の激化を背景に、採用動画制作への投資判断を迫られている人事担当者は少なくありません。「採用動画 制作」と検索すると費用相場から成功事例まで情報が氾濫していますが、結局いくらかければ効果が出るのか、判断材料は意外と整理されていないのが実情です。
本記事では、採用動画の種類別費用相場、料金の内訳構造、求職者の実際の視聴データ、そして失敗しないための制作会社選びのポイントを、公的な一次調査データとあわせて解説します。
なぜ今、採用動画制作が採用活動に不可欠なのか
求人票やテキストベースの採用サイトだけでは伝えきれない社風や職場の空気感を、直感的に届けられる手段として採用動画の重要性が高まっています。単なる流行ではなく、求職者の情報収集行動そのものが動画中心にシフトしていることが、複数の調査データから裏付けられています。
中途採用企業の3割が動画を活用、正社員の9割が「志望度が上がる」と回答
株式会社マイナビが2025年1月に実施した「中途採用・転職活動の定点調査」によれば、企業の採用担当者の約3割(29.9%)が中途採用活動において動画を活用していると回答しており、従業員規模が大きい企業ほどその割合は高い傾向にあります。さらに同調査では、正社員の約9割が「応募時に企業のリアルな情報を動画で見ると志望度が上がる」と回答しており、動画コンテンツが応募意欲の形成に直結する要素であることが明確になっています(出典1)。
求職者の36%が採用動画を視聴し、4割以上の志望度に影響している【一次データ】
エン・ジャパン株式会社が『エン転職』のユーザー1,393名を対象に2025年4月に実施した独自調査では、転職活動中に企業の採用動画を1本以上視聴した求職者は36%にのぼり、5本以上視聴した層も10人に1人存在することが分かりました。
加えて、採用動画の視聴が「その企業への志望度に影響がある」と答えた割合は42%に達し、視聴内容の上位は「会社・事業紹介」(69%)、「仕事紹介」(52%)でした(出典2)。
株式会社学情が2025年3月卒業予定の学生を対象に行った調査でも、応募前に動画を視聴したことで志望度が「上がった」と答えた学生は7割を超えており、若年層ほど動画の影響を強く受ける傾向がうかがえます(出典3)。これらの一次データは、採用動画が単なる企業PRではなく、求職者の意思決定プロセスに実際に食い込んでいることを示す重要な根拠です。
採用動画制作の費用相場と料金の内訳構造
採用動画の制作費用は、数万円の簡易的なSNS切り出しコンテンツから、300万円を超えるブランディング動画まで幅があります。この価格差を生む本質的な要因は「動画の長さ」ではなく、企画の作り込み度合い、撮影日数、ロケ拠点数、出演者の手配によって決まる点を理解しておく必要があります。
動画の種類別に見る採用動画制作費用の目安
以下は、採用動画の種類ごとの一般的な費用相場と、採用ファネル(認知〜内定承諾)における適合ステージをまとめたものです。

エン・ジャパンの調査で視聴タイミングとして「応募前」(69%)が最多だった点を踏まえると、社員インタビューや会社紹介動画は比較検討〜応募直前のフェーズに配置することが特に効果的だと考えられます(出典2)。
見積もりを構成する4つのコア工程と価格変動要因
制作会社の見積もりは、主に①企画・構成・ディレクション費、②撮影・人件費・機材費、③編集・加工費、④諸経費・キャスティング費の4工程で構成されます。企画・構成費は5万〜30万円が目安ですが、採用ブランディングの根幹設計から関わる場合は100万円を超えることもあります。
撮影・人件費は1日あたり5万〜100万円と幅が広く、複数日・複数拠点のロケになるほどスタッフの拘束時間に比例して積算額が増えます。編集費は10万〜50万円が相場で、3DCGや複雑なアニメーション演出を加えると上振れします。諸経費にはナレーター費(3万〜10万円)やタレント起用費(10万〜50万円以上)が含まれますが、自社の現役社員を起用すればキャスト費用は抑えられます。
近年は「撮影1日=定額」という原価連動型の料金モデルを採る制作会社も増えており、複数本を同時撮影する企業にとってはコストを合理化しやすい選択肢となっています。
採用動画で成果を出すために押さえるべき視聴データと配置設計
費用をかけること自体は成果を保証しません。求職者がどのフェーズで、どんな長さの、どんな内容の動画を求めているかを理解した上で設計することが、投資対効果を高める鍵になります。
求職者が本当に見たいのは「リアルな情報」という視聴データ
エン・ジャパンの調査では、視聴内容として最も選ばれているのは「会社・事業紹介」(69%)と「仕事紹介」(52%)であり、志望度が上がった理由として「実際に働く環境と1日の流れが分かり、入社後のギャップが生じない」「社員インタビューで自分と同じ境遇の人が働く様子を見て志望度が上がった」といった声が寄せられています。
一方で「良いことしか言わない内容だと、どこまで正直な動画か分からない」「作り込まれた感じにやらされ感を覚えて応募をやめた」という志望度低下の声も報告されており、過度な演出よりも誠実さが評価される傾向が明確です(出典2)。動画の長さについては、全年代で「1分〜3分未満」が最多回答(65%が3分未満を希望)となっており、10分を超える長尺動画は求職者から敬遠されやすいことも分かります。
採用ファネルに応じた動画配置のフローチャート
動画は種類ごとに適した配置フェーズが異なります。以下のように、認知段階から内定承諾段階まで、求職者の心理状態に合わせて動画を出し分ける設計が効果的です。

エン・ジャパンの調査でも視聴タイミングは「応募前」が69%と突出して多く、応募直前フェーズに1〜3分程度の仕事紹介・インタビュー動画を配置することが、応募転換の後押しとして特に有効だと考えられます(出典2)。
認知獲得を狙うSNS広告枠に長尺の会社説明動画を置く、あるいは応募直前の求人ページに抽象的なブランディング動画だけを置くといった、ファネルと動画形式のミスマッチは離脱の原因になりやすいため注意が必要です。
採用動画制作でよくある失敗と回避するためのチェックポイント
多額の予算を投じたにもかかわらず応募が増えない、再生回数が伸びないといった失敗には、共通する構造的な原因があります。
尺の長大化と過度な演出による「リアリティの欠如」
伝えたい情報を詰め込みすぎた5分〜10分以上の長尺動画は、タイムパフォーマンスを重視する求職者に敬遠されやすく、前述の調査でも3分未満を求める声が全年代で最多でした。
また、プロのモデルのみを起用した過剰に美しい映像や、良い面しか見せないシナリオは「実態と違うのではないか」という不信感を招き、かえって志望度を下げるリスクがあります。求職者が求めているのは飾り気のない社員の本音であり、業務の大変さも含めて誠実に伝える構成のほうが、結果的にミスマッチの少ない応募者の獲得につながります。
制作会社選びで確認すべき体制と権利関係
出演した社員が退職した際の映像利用継続について事前に同意を得ていないと、退職後に動画の非公開化や再撮影を余儀なくされ、追加コストが発生することがあります。見積もり段階で、撮影日数を基準とした料金構造になっているか、出演者の権利関係の取り決めが明文化されているか、修正対応の回数や範囲が契約に含まれているかを必ず確認しておきましょう。
これらは制作会社によって対応方針が大きく異なるため、複数社から相見積もりを取り、料金の内訳を工程ごとに比較することをおすすめします。
採用動画は「作って終わり」では意味がない—届けるための導線設計
どれだけ質の高い採用動画を制作しても、求職者の目に触れなければ投資は回収できません。多くの企業が見落としがちなのが、「動画を作ること」と「動画を届けること」は別の設計が必要だという点です。動画制作の予算だけを確保し、掲載後の流入経路を考えていなかったために再生回数が伸びず、費用対効果を測定できないまま終わってしまうケースは少なくありません。
採用サイトに掲載するならSEO対策とセットで設計する
採用動画を自社の採用サイトや求人ページに掲載する場合、そのページ自体が検索結果に表示されなければ、動画にたどり着く求職者は限られてしまいます。
動画のタイトルやディスクリプション、ページ内の見出し構成に「職種名+働き方」「企業名+社風」といった求職者の検索意図に沿ったキーワードを組み込み、動画を単体コンテンツとして孤立させず、周辺のテキスト情報(仕事内容の詳細、社員インタビューの書き起こしなど)とセットでページを設計することで、検索エンジンからの自然流入を継続的に獲得できます。動画は「見せる場所」までを含めて設計して初めて成果につながるコンテンツです。
SNSでの発信を通じた認知拡大も欠かせない
採用サイトへの掲載と並行して、TikTokやInstagram、YouTubeショートなどのSNSで短尺の切り出し動画を継続的に発信することも重要です。SNSは検索してたどり着く場ではなく偶然の出会いを生む場であるため、まだ自社を知らない潜在層への認知拡大という、採用サイトのSEOとは異なる役割を担います。
認知段階のSNS発信で興味を持ってもらい、比較検討段階で採用サイトの詳細な動画コンテンツにたどり着いてもらう、という二段構えの導線を設計することで、動画一本あたりの費用対効果を最大化できます。動画は制作して終わりではなく、「どこで、誰に、どう見せるか」までを一体で考えることが、採用成果を左右する分かれ目になります。
採用動画制作は株式会社um.へお気軽にご相談ください
株式会社um.は横浜を拠点とするクリエイティブプロダクションとして、企画・構成から撮影、編集までワンストップで採用動画制作をご支援しています。予算感が明確な費用体系のもと、貴社の採用課題や母集団形成のフェーズに合わせて、社員インタビューから1日密着ドキュメンタリー、SNS向け短尺動画まで最適な形式をご提案いたします。
動画の掲載先となる採用サイト・コーポレートサイトの制作・SEO設計についてもご相談いただけますので、動画単体だけでなく届け方まで含めたご相談も可能です。「何から始めればいいか分からない」「まずは費用感だけ知りたい」といった段階でも構いませんので、採用動画制作をご検討の際は、ぜひ株式会社um.までお問い合わせください。
出典
- マイナビ キャリアリサーチLab「2025年1月度 中途採用・転職活動の定点調査」 https://career-research.mynavi.jp/reserch/20250228_93406/
- エン・ジャパン株式会社「『採用動画』に関する調査ー『エン転職』ユーザーアンケートー」(2025年5月28日発表) https://corp.en-japan.com/newsrelease/2025/41694.html
- 株式会社学情「7割超が『動画視聴』で志望度上昇」(2023年6月23日発表) https://service.gakujo.ne.jp/wp-content/uploads/2023/10/230623-navienq.pdf
