そもそもプロモーションとは何か|動画制作を検討する前に押さえておきたい基本
「プロモーション動画を作りたい」と考えたとき、そもそも「プロモーション」という言葉が何を指しているのかを整理しておくと、動画制作の目的や予算の考え方が整理しやすくなります。
プロモーションは、マーケティングの基本的なフレームワークである「4P」(Product=製品、Price=価格、Place=流通、Promotion=プロモーション)の一要素で、1960年代にアメリカの経営学者E・J・マッカーシーが提唱した考え方です。
この中でプロモーションは、消費者や顧客に自社や商品・サービスの存在を知らせ、好意的なイメージを持ってもらい、最終的に購買や問い合わせといった行動につなげるための一連の活動を指します。広告宣伝、広報・PR、人的販売、セールスプロモーション(SP)といった手法がここに含まれ、動画制作はこうした活動を実現するための手段のひとつという位置づけになります。
「プロモーション動画を作ること」自体がゴールなのではなく、「誰に」「何を」「どう伝えるか」を実現する手段として動画を選ぶ、という順序で考えることが重要です。この前提を押さえずに動画制作から入ってしまうと、完成した動画が本来の目的とずれてしまい、費用をかけた割に成果が出ないという事態にもなりかねません。
プロモーションに動画を活用することで得られる効果
プロモーション手法にはチラシやポスター、Web広告、SNS投稿などさまざまな選択肢がありますが、動画が近年多くの企業・自治体に選ばれているのには理由があります。
動画マーケティングの調査を12年連続で継続している調査会社Wyzowlの2026年版レポートによると、企業の91%が動画をマーケティング手法として活用しており、過去最高水準に並ぶ数値となっています。
同レポートでは、動画マーケティング担当者の93%が「動画によって商品・サービスへの理解が深まった」、同じく93%が「動画がブランド認知の向上に役立った」と回答しています(いずれも前年より数ポイント低下した数値ですが、依然として9割超が効果を認めている点は注目に値します)。
82%が「動画マーケティングは良好な投資対効果(ROI)をもたらした」と回答しており、こちらも前年(93%)からは下がったものの、多数派が投資に見合う成果を実感していることが読み取れます。
動画は文字や静止画に比べて、表情や声のトーン、動きといった非言語的な情報も同時に伝えられるため、商品の使い方やサービスの利用シーンを直感的に理解してもらいやすいという特性があります。加えてSNSでシェアされやすく拡散力が高いことから、印象的な演出やストーリー性を持たせることで視聴者の記憶に残り、単発の接触で終わらず「あの動画の会社(地域)」として想起されるきっかけにもなります。
もちろん動画を作れば自動的に売上が伸びるわけではありませんが、目的とターゲットを明確にした上で制作された動画は、行動喚起(コンバージョン)につながりやすい手法のひとつとされています。
プロモーション動画の実例に見る成功パターン
ここからは、実際に大きな反響を呼んだプロモーション動画の事例を、企業・街(自治体)・観光地の3つのカテゴリーで紹介します。
いずれも公式発表や報道など裏付けのある一次情報をもとにしています。なお、以下で紹介する3つの事例は、いずれも著名なタレント・アスリートの起用や大規模な撮影を伴う、比較的予算規模の大きい制作物です。反響が大きく報道や公式発表で数字が裏付けられているために事例として選びやすい一方、後述する費用相場から見ると高価格帯に位置します。
実際には、もっと小さな予算で成立するプロモーション動画も数多く存在するため、費用感については次章の予算帯別の目安もあわせてご覧ください。
企業プロモーションの事例|日本コカ・コーラ「やかんの家族だゾ!」(やかんの麦茶×クレヨンしんちゃん)
日本コカ・コーラが2025年4月から展開している実写化ショートムービーです。「やかんの麦茶 from 爽健美茶」のリニューアルにあわせ、国民的アニメ「クレヨンしんちゃん」とコラボし、大人になった野原一家を高橋文哉さん・原田泰造さん・麻生久美子さんらが演じるという企画です。日本コカ・コーラの公式サイトによると、公開から2ヶ月ほどで第1話〜第5話の総視聴回数が1,200万回を突破し、2026年3月末時点では全7話で3,800万回以上に達しました。反響を受けて2026年4月には続編となるシーズン2の配信も始まっており、単発で終わらず継続的にシリーズ展開している点が特徴です。「原作キャラクターの高い再現性」と「共感を誘うストーリー」が話題化の要因になったと報じられています。
- 動画本編・第1話「やかんの家族だゾ!しんのすけ篇」(コカ・コーラ公式YouTube):https://youtu.be/OzpFnPrf8ww
- 日本コカ・コーラ公式サイト「実写化ショートムービー『やかんの家族だゾ!』4月9日公開」:https://www.coca-cola.com/jp/ja/media-center/news-20250409-12
- 日本コカ・コーラ公式サイト「第1話から第5話の総視聴数1,200万回突破」:https://www.coca-cola.com/jp/ja/media-center/news-20250625-18
- 日本コカ・コーラ公式サイト「総視聴回数3,800万回突破!シーズン2公開」:https://www.coca-cola.com/jp/ja/media-center/news-20260406-19
街(自治体)プロモーションの事例|香川県「うどん県」PR動画
2011年、香川県は全国的な知名度の低さを課題としており、その打開策として「香川県はうどん県に改名します」と俳優が宣言する約2分20秒のPR動画を特設サイトで公開しました。日本経済新聞の報道によると、公開翌日の12日昼ごろからアクセスが急増し、公開から1日ほどで約17万件のアクセスを記録したとされています。うどんの知名度を入り口にしながら、骨付鶏や県内の美術館など「うどんだけではない香川」の魅力を発信する構成になっている点が特徴です。
- 日本経済新聞「香川県が『うどん県』に?改名会見にアクセス殺到」:https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG14017_U1A011C1CC0000/
- 日本経済新聞「『うどん県』動画を生かせ 香川県、首都圏でPR」:https://www.nikkei.com/article/DGXNASJB2702H_X21C11A0LA0000/
観光地プロモーションの事例|大分県「シンフロ」
「おんせん県おおいた」を掲げる大分県が2015年に公開したPR動画「シンフロ」は、元日本代表選手が率いるプロのシンクロナイズドスイミングチームが、県内の温泉でシンクロを披露するという意表を突いた内容です。大分県公式サイトでも大変好評だったと紹介されており、その後「シンフロ ご当地サウンド篇」「ゆけ、シンフロ部!」「プレミアムフロイデー」といった続編動画も継続的に制作されるシリーズ企画へと発展しました。
第2弾にあたる「ご当地サウンド篇」については、制作を担当した広告代理店へのインタビュー(PR TIMES掲載)で、SNS上のユーザー反応のうちポジティブな感情の割合が通常10%程度のところ25%を超えたことが紹介されており、シリーズを通じて話題化と好感度の両面で成果を上げてきたことがわかります。
制作舞台裏インタビュー(PR TIMES):https://prtimes.co.jp/works/2403/
動画本編・第1弾「シンフロ」(おんせん県おおいた公式YouTube):https://www.youtube.com/watch?v=20ZWZJgixtw
動画本編・第2弾「ご当地サウンド篇」(おんせん県おおいた公式YouTube):https://www.youtube.com/watch?v=5QYrsc8aATs
大分県公式サイト:https://www.pref.oita.jp/soshiki/10400/purefuro.html
プロモーション動画制作の落とし穴
動画の効果や成功事例を見てきましたが、注意すべき落とし穴も存在します。
話題性が先行し、本来の目的を見失うリスク
前述の香川県「うどん県」の事例について、日本経済新聞は「うどんだけじゃない香川のイメージを浸透させるためには、動画の一時的な人気に浮かれることなく、地道な活動が欠かせない」と指摘しています。
話題化や再生回数という分かりやすい数字ばかりに目が向くと、本来伝えたかった商品理解やブランドイメージの向上という目的が置き去りになってしまうことがあります。企画段階で「何が話題になれば成功なのか」ではなく「視聴者にどう行動・意識が変化してほしいのか」を明確にしておくことが重要です。
あわせて、動画は公開すれば自動的に見てもらえるわけではないため、公開後にどのチャネルでどう配信・拡散させるかという運用計画も、制作と同じくらい重要な検討事項です。
見積もりの内訳が不明瞭なまま発注し、追加費用が発生するリスク
プロモーション動画は、企画構成・撮影・編集という工程ごとに費用が積み上がる構造になっています(詳しくは次章で解説します)。総額だけを見て発注すると、3DCGやVFXといった高度な表現、BGM・楽曲の二次利用権、出演者の肖像権処理といった項目がオプション扱いになっていることに気づかず、後から追加費用が発生してトラブルになるケースがあります。
見積もりを受け取る際は、総額だけでなく内訳と「含まれていないもの」を必ず確認しておきましょう。
プロモーション動画制作の費用相場|予算帯別に何ができるかを知る
プロモーション動画制作の費用は、前章の事例のような数百万円規模のものばかりではありません。ここでは「予算帯ごとに何が実現できるか」という目安と、実際に公表されている自治体の契約金額の両方から、費用感をつかんでいきます。
予算帯別に見る、実現できる動画の目安
まず、どのくらいの予算でどのような動画が作れるのかを、制作工程(企画構成・撮影・編集)の積み上がり方から整理した目安が以下の表です。実際の金額は依頼先や地域、時期によって変動しますが、大まかな見当をつける参考にしてください。

このように、プロモーション動画は「まず10万円台から小さく試す」ことも、「300万円以上をかけて大規模に展開する」ことも、どちらも可能な手段です。重要なのは、目的とターゲットに対して過不足のない予算を組むことで、必ずしも高額であるほど良い、というものではありません。
自治体が公表している実際の契約金額
参考情報として、自治体が公募型プロポーザルの結果として公式サイトで公表している契約金額も紹介します。ただし、こうした公募情報として公表される案件は、性質上ある程度まとまった規模の業務委託に限られる傾向があり、10万〜100万円台の小規模な発注は正式な公募にかけず見積もりのみで契約されることが多いため、公的な一次情報としては公表されにくいという実情があります。その前提を踏まえた上で、実際の契約金額の幅をご覧ください。

この7件を見ると、動画制作単体では300万〜550万円前後に集まっており、広報・広告展開までを含む契約になると900万円台まで上がる傾向が読み取れます。
費用は「企画構成費」「撮影費」「編集・仕上げ費」という工程の積み上げで決まり、撮影の規模(ロケ地の数・出演者の有無・機材のグレード)と編集の高度さ(3DCGやVFXの有無)が金額を左右する主な要因です。
なお、経済産業省 中小企業庁が所管する小規模事業者持続化補助金は、チラシ作成や広告掲載など幅広い販路開拓の経費を対象としており(公式サイト「ミラサポplus」による)、プロモーション動画の制作費もその一部として活用できる可能性があります。
ただし対象経費の区分は年度ごとの公募要領で細かく定められているため、活用を検討する場合は最新の公募要領を確認するか、地域の商工会議所・商工会に事前相談することをおすすめします。
動画制作については株式会社um.へお問い合わせください
プロモーションの基本的な考え方から、動画がもたらす効果、実際の成功事例、そして陥りやすい落とし穴と費用相場まで解説してきました。予算帯別の目安はあくまで一般的な参考値であり、「うちの予算だと具体的に何ができるのか」は、目的や条件によって変わってきます。10万円台の小さな一歩から数百万円規模の企画まで、まずは予算感を含めて相談したいという方は、プロモーション動画・企業紹介動画などの制作を手がける株式会社um.までお問い合わせください。
▶ 株式会社um. 公式サイト:https://um-cre.com/
出典・参考データ一覧
- Wyzowl「Video Marketing Statistics 2026」:https://wyzowl.com/video-marketing-statistics/
- 資生堂公式プレスリリース「資生堂のWEB動画が世界三大広告賞すべてでゴールドを受賞!」:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000706.000005794.html
- 「High School Girl?メーク女子高生のヒミツ」本編(資生堂公式YouTube):https://www.youtube.com/watch?v=5n3Db6pMQ-8
- 日本経済新聞「香川県が『うどん県』に?改名会見にアクセス殺到」:https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG14017_U1A011C1CC0000/
- 日本経済新聞「『うどん県』動画を生かせ 香川県、首都圏でPR」:https://www.nikkei.com/article/DGXNASJB2702H_X21C11A0LA0000/
- 大分県公式サイト「新作おんせん県おおいたPR動画『プレミアムフロイデー』ができました!」:https://www.pref.oita.jp/soshiki/10400/purefuro.html
- 「シンフロ」フルバージョン(おんせん県おおいた公式YouTube):https://www.youtube.com/watch?v=20ZWZJgixtw
- 「シンフロ ご当地サウンド篇」フルバージョン(おんせん県おおいた公式YouTube):https://www.youtube.com/watch?v=5QYrsc8aATs
- PR TIMES「お風呂でシンクロ!『おんせん県おおいた』による『シンフロ』動画の舞台裏とPR術」:https://prtimes.co.jp/works/2403/
- ふじみ野市「シティプロモーション動画制作業務委託における公募型プロポーザルの実施」:https://www.city.fujimino.saitama.jp/soshikiichiran/kohokochoka/kohokochokakari/13557.html
- みどり市「シティプロモーション映像制作業務に係る公募型プロポーザル」:https://www.city.midori.gunma.jp/sangyou/1001649/1001806/1008919.html
- みどり市「シティプロモーション映画企画開発業務に係る公募型プロポーザル」:https://www.city.midori.gunma.jp/sangyou/1001649/1001806/1005805.html
- 下北山村「プロモーション動画制作・放映業務について」:https://www.vill.shimokitayama.nara.jp/oshirase/2026/07/3106738.html
- 上毛町「上毛町移住定住プロモーション動画制作業務公募型プロポーザルの実施について」:https://www.town.koge.lg.jp/soshiki/chocho/10/3_1/5276.html
- 常総市「常総市シティプロモーション動画制作業務委託公募型プロポーザル」:https://www.city.joso.lg.jp/kurashi_gyousei/jigyousha/nyusatsu_keiyaku/koubo/page002724.html
- 札幌市「札幌市シティプロモーション動画制作及び広報・広告展開業務」:https://www.city.sapporo.jp/somu/tokyo/r07citypr-competition2.html
- 経済産業省 中小企業庁「小規模事業者持続化補助金」(ミラサポplus):https://mirasapo-plus.go.jp/subsidy/jizokuka/
