「不動産 動画制作 費用」で検索すると、数万円から数百万円まで金額の幅があまりに広く、自社にとっての適正価格がどこにあるのか判断がつきにくいはずです。制作会社の見積もりだけを見比べても、何にいくらかかっているのかが見えてこないという声もよく聞きます。
この記事では、地方自治体が実際に発注した動画制作業務の予算データと、マッチングサービス上の実勢価格という一次情報をもとに、不動産動画制作の費用構造と適正価格の見極め方を整理します。相場感だけでなく、内製化とのハイブリッド運用や掲載後の導線設計まで扱っていますので、これから動画制作を検討する不動産事業者の判断材料にしてください。
不動産の動画制作が集客に直結する理由とZ世代の実態データ
物件の間取りや陽当たり、内装の質感は、写真やテキストだけでは十分に伝わりません。不動産の動画制作が特別なものではなく標準装備になりつつある背景には、部屋探しをする人の行動そのものが動画中心に変化しているという事実があります。
全日本不動産協会が指摘するSNS動画活用の効果
全日本不動産協会は、InstagramやYouTubeといった動画共有プラットフォームの活用が、不動産業の集客において重要なキーワードになりつつあると位置付けています(出典1)。
ルームツアーや物件紹介の動画をSNSで発信することは、来店前の段階から見込み客との接点をつくり、企業への信頼感や親近感を醸成する手段として機能します。内見前にTikTokやInstagramで物件や会社の雰囲気を確認してから来店を決める行動は、すでに珍しいものではありません。
ハウスコム調査に見る「物件紹介動画」が部屋選びを左右する実態
東証プライム上場の不動産仲介大手ハウスコム株式会社が2023年に実施した「”部屋選び”に関する調査」では、部屋選びの際に「物件紹介動画を参考にしたい」と回答したZ世代は53.5%にのぼり、SNSを部屋探しに使っている層に限れば67.0%が実際に物件紹介動画を参考にしたと答えています(出典4)。
さらに、動画を見た人の42.7%が「動画を投稿している不動産会社に実際に相談した」と回答しており、動画視聴が問い合わせという具体的な行動に結びついていることが読み取れます。動画を参考にした人の平均家賃は79,110円で、Z世代全体の平均71,660円より7,450円高いというデータもあり、動画は単価の高い成約にもつながりやすいコンテンツだといえます。
参考になった情報の1位は「駅からの道のりの様子」(32.9%)で、写真だけでは伝わりにくい動線情報への需要の高さがうかがえます。
以下は、この調査から見える動画視聴後の行動を整理したものです。

数字が並んでいるとおり、動画は「見て終わり」ではなく、そのまま次の行動(相談・検索・現地訪問)に直結するコンテンツだということが分かります。
不動産動画制作の費用相場とその内訳
不動産動画の制作費用は、個人クリエイターへの単発撮影依頼から、自治体や大手企業が発注する一体型のプロモーション映像まで、依頼形態によって金額が大きく変わります。
個人クリエイターと制作会社で異なる不動産動画制作費用
クラウドソーシング型のマッチングサービスでは、物件紹介動画の撮影単体を5万円台〜11万円程度で個人クリエイターに依頼できます。神奈川県内では6万4,500円、兵庫県や京都府では11万円といった実績が公開されており、地域や撮影規模によって金額に幅があります(出典5)。
一方、企画構成からポストプロダクションまでを一括で任せる場合、公的機関が発注する一体型の業務委託では180万円〜261万6千円という金額が実例として確認できます(出典2・3、詳細は次章)。つまり「誰が・どこまでやるか」によって同じ「不動産動画制作」でも桁が変わる、という点をまず押さえておく必要があります。
物件タイプ・撮影範囲によって不動産動画制作費用が変わる要因
同じ「ルームツアー動画」でも、単身向けワンルームの撮影と、モデルハウス規模の一戸建てを複数アングルから撮影する場合とでは、必要な撮影時間もスタッフ人数も異なります。玄関から各部屋までの動線をすべて撮る一般的な構成に加えて、ドローンによる外観・周辺環境の空撮を加える場合や、複数物件をまとめて撮影する場合は、撮影日数と機材費の分だけ費用が上乗せされます。
見積もりを比較する際は、金額の大小だけでなく、想定されている撮影範囲や納品本数が自社の物件規模に合っているかを確認することが欠かせません。
見積もりを構成する4つの費用項目と価格変動要因
制作会社の見積もりは、主に企画・構成・ディレクション費、撮影の人件費・機材費、編集・ポストプロダクション費、ナレーションやキャスティングを含む諸経費という4つの工程で構成されます。企画・構成費は5万〜30万円が目安ですが、ブランディングの根幹設計から関わる場合は100万円を超えることもあります。
撮影費は1日あたり5万〜100万円と幅が広く、ドローン撮影や複数拠点のロケが加わるほど積算額は増えていきます。編集費は10万〜50万円が相場で、CGや複雑なアニメーション演出を加えると上振れします。
下の図は、150万円規模のプロモーション動画を例にした費用配分のイメージです。
案件によって比率は変わりますが、撮影費と編集費で全体の7割前後を占める点はおおむね共通しています。
45%30%15%10%不動産動画制作費用の内訳イメージ(150万円規模の案件の場合)撮影費(人件費・機材費) [45]編集・ポストプロダクション費 [30]企画・構成費 [15]諸経費(ナレーション等) [10]
公的機関の発注データで見る不動産動画制作費用の相場観
民間の見積もりだけでは相場の妥当性を判断しづらいため、地方自治体や公的機関が発注する動画制作業務の予定価格を参照することが有効です。行政は税金を原資とする以上、積算根拠を明確にしたうえで予算を組んでいるため、客観性の高いベンチマークになります。
羽曳野市・福岡県の動画制作業務委託に見る予算実例
以下は、公的機関が実際に公募した動画制作業務委託の予算額です。

羽曳野市の案件は、実施スケジュールの策定から発注者との詳細協議、撮影・編集業務全般までを一つの業務範囲として積算したものです。
福岡県の案件は、学習用動画に加えてSNS用動画やポスター制作まで含む複合的な成果物を求めており、単純な撮影単価の比較では読み違えやすい点に注意が必要です。金額だけでなく、どこまでの業務範囲が含まれているかまで見て初めて、相場を正しく比較できます。
150万〜260万円という不動産動画制作費用の標準ラインの読み方
上記2件の予算額をあわせて見ると、一定品質を担保したオリジナルの映像コンテンツを企画から編集まで一括で外部委託する場合、150万円〜260万円程度が一つの目安になることが読み取れます。
一方、物件ごとの簡易なルームツアーやショート動画は、前章で見た5万円台〜11万円というマッチングサービスの実勢価格に近い水準で発注されるのが一般的です。次の表は、これまでに見てきた費用帯を依頼形態別に整理したものです。

企業全体のブランド映像や広域プロモーションを検討する際は、この価格帯を参考基準として持っておくと、民間の見積もりが妥当な水準にあるかどうかを判断しやすくなります。
一般企業のPR動画制作費用は公的委託ほど高額にならないことも多い
ここまで見てきた150万円〜260万円という金額は、あくまで自治体が発注した「企画・撮影・編集・SNS展開・ポスター制作」までを含む複合的な業務委託の実例です。この金額をそのまま「不動産動画の相場」として受け取ってしまうと、実際に動画制作を検討している不動産会社にとってはハードルが高く見えすぎてしまいます。
行政案件は、複数年にわたる契約期間や発注者との詳細協議、広報活動へのフォローアップまで含めて積算されることが多く、単純に「動画を1本作る」だけの民間案件とは前提が異なります。実際、一般的な企業紹介・PR動画の制作費用相場は10万円〜200万円程度とされ、カメラ1台・1〜2分程度の構成であれば30万円前後から依頼できるという調査もあります(出典6)。物件紹介や会社紹介といった、不動産会社が実務でよく発注する規模のPR動画であれば、30万円〜80万円程度に収まるケースも十分に想定できます。
つまり、公的委託データが示す150万円〜260万円は「大規模・複合的な案件の上限に近い相場感」であり、通常の不動産会社が1本のPR動画を制作会社に依頼する場合は、もっと手頃な価格帯で十分に対応できることが多いという点を押さえておくとよいでしょう。
不動産動画の費用対効果を高める内製化と外部委託の使い分け
動画制作の費用対効果を高めるには、外部委託と自社内製化を適切に使い分け、制作した映像資産の流通経路を最適化することが欠かせません。
外部委託が適した不動産動画・内製化が適した不動産動画
企業ブランディング動画や旗艦物件のシネマティックプロモーション、ドローンを活用した広域景観撮影など、高度な演出力が求められるコンテンツはプロの制作会社へ委託するのが向いています。
日常的なInstagramリールやTikTokコンテンツ、迅速な情報更新が必要な賃貸物件のルームツアー、現地からのライブ配信は、社内スタッフによる内製化のほうがコストパフォーマンスに優れます。高精細な動画は外注、日常更新の動画は内製というハイブリッド運用が、限られた予算の中で発信量と品質を両立させる現実的な落としどころです。
広告課金方式(CPM・CPC・CPV)でCPAを引き下げる配信設計
動画コンテンツの獲得効果を高めるうえでは、配信時の広告課金方式の選定も重要です。全日本不動産協会の知見を踏まえると、SNS広告にはブランド認知拡大を狙う「CPM(1,000回表示あたり課金)」、物件詳細ページへの誘導率を高める「CPC(クリックあたり課金)」、動画の確実な視聴を目的とする「CPV(動画視聴あたり課金)」という複数の課金方式が存在します(出典1)。
ターゲット層の検討フェーズに応じてこれらを使い分け、ライブ配信とそのアーカイブ活用を組み合わせることで、見込み客との信頼関係を段階的に深め、最終的な顧客獲得単価を引き下げられます。認知段階ではCPM、比較検討段階ではCPVで視聴完了を重視し、問い合わせ直前のフェーズではCPCで詳細ページへの誘導を強める、という段階設計が有効です。
不動産動画制作でよくある失敗と発注前のチェックポイント
十分な予算を投じたにもかかわらず反響が伸びない失敗には、共通する構造的な原因があります。
不動産動画制作の見積もり内訳が不透明なまま発注してしまう
企画費・撮影費・編集費・諸経費という4つの工程のうち、どの部分にどれだけの費用が配分されているかが分からないまま契約すると、修正対応の回数や追加撮影の費用について後からトラブルになりやすくなります。
見積もり段階で、撮影日数を基準とした料金構造になっているか、修正対応の回数や範囲が契約に明文化されているかを確認しておきましょう。複数社から相見積もりを取り、工程ごとの内訳を比較する手間を惜しまないことが、結果的に費用を抑える近道になります。
動画制作後の届け方(SEO・SNS導線)を設計していない
どれだけ質の高い動画を制作しても、見込み客の目に触れなければ投資は回収できません。自社サイトや物件ページに掲載する場合は、そのページ自体が検索結果に表示されるようSEOと一体で設計する必要があります。動画のタイトルやページ内の見出し構成に検索意図に沿ったキーワードを組み込み、周辺のテキスト情報と一体でページを設計することで、検索エンジンからの自然流入を継続的に獲得できます。
ハウスコムの調査でも、動画を見た人の3割以上が不動産ポータルサイトで近い物件を検索するという行動が確認されており(出典4)、動画は単体で完結させず、掲載先のページ設計やSNSでの継続発信まで含めて考えるべきコンテンツだといえます。
不動産の動画制作は株式会社um.へお気軽にご相談ください
株式会社um.は横浜を拠点とするクリエイティブプロダクションとして、企画・構成から撮影、編集までをワンストップで支援しています。物件紹介のルームツアー動画から、旗艦プロジェクトのブランディング映像、SNS向けの短尺コンテンツまで、貴社の予算感や集客フェーズに合わせて最適な形式をご提案いたします。
「まずは費用感だけ知りたい」という段階でのご相談も歓迎しています。動画の掲載先となる自社サイトのSEO設計についても併せてご相談いただけますので、動画単体だけでなく届け方まで含めたご支援が可能です。不動産物件・企業の動画制作をご検討の際は、ぜひ株式会社um.までお問い合わせください。
出典
- 全日本不動産協会「SNSは不動産業の集客におすすめ!活用法や成功事例を紹介」 https://www.zennichi.or.jp/column/sns-know-how/
- 羽曳野市「羽曳野市PR動画制作業務仕様書」 https://www.city.habikino.lg.jp/material/files/group/124/dougaseisakupuropogyoumushiyousyo.pdf
- 福岡県「【企画提案公募】『こどもの権利の啓発テキスト解説動画制作業務』の受託事業者を募集します」 https://www.pref.fukuoka.lg.jp/bid-info/kodomonokenri-koubo.html
- ハウスコム株式会社「2023年度”部屋選び”に関する調査」 https://cdn.kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M107212/202306066190/_prw_OR1fl_b991638e.pdf
- ミツモア「不動産動画・物件紹介動画撮影」神奈川県の受注実績 https://meetsmore.com/services/housing-videographers/kanagawa
6. ミツモア「用途・長さ(尺)別の動画制作の料金相場とは?費用を抑えるコツも解説」 https://meetsmore.com/product-services/CM-video-advertisement-production/media/208535
