動画制作を外注する流れと依頼前の準備|発注で失敗しないためのポイント7選

会社紹介や採用、商品のプロモーションに動画を使いたくても、初めて制作会社に依頼する担当者には、何から手をつければよいのかが見えにくいものです。問い合わせで何を伝えるのか、撮影の日に自社は何をするのか、納品までにどれくらいかかるのか。こうした点が分からないまま発注すると、途中で手戻りが起きたり、完成した動画を思うように使えなかったりします。

本記事では、動画制作を外注するときの流れを工程ごとに整理し、依頼前に社内で準備しておくことと、契約や権利の面で押さえておくべきポイントを解説します。

動画制作を外注する流れの全体像

動画制作の外注は、問い合わせから納品まで、ほぼ決まった順番で進みます。全体の流れを先につかんでおくと、自社がどの段階で何を判断すればよいかが分かり、制作会社とのやり取りも滞りません。

動画制作の依頼から納品までは7つの工程で進む

呼び方は制作会社によって多少異なりますが、外注の流れは「問い合わせ・ヒアリング」「企画提案・見積もり」「契約・発注」「構成案・絵コンテ作成」「撮影」「編集・修正」「納品」の7つに分けられます。

動画制作を外注する流れと手順を示すステップ図(問い合わせから納品まで)

前半の3工程は「何を、いくらで、どこまで作るか」を決める段階です。ここの合意があいまいなまま進むと、編集の段階で「イメージと違う」という食い違いが表に出て、修正が増え、納期にも響きます。発注側が最も時間をかけるべきなのは、撮影や編集よりも前のこの段階です。

動画制作の外注にかかる期間の目安

社員インタビューと社内の様子を撮影する3分前後の会社紹介動画であれば、問い合わせから納品まで1か月半から3か月ほどを見込んでおくと安心です。撮影日数やロケ地の数、出演者の調整、社内確認にかかる日数によって期間は前後します。

3分程度の実写動画制作における全体で約1.5〜3か月のスケジュール目安とタイムライン

見落としやすいのが、社内確認にかかる時間です。構成案や初稿の確認に社内で1週間かかれば、納品もその分だけ後ろにずれます。展示会や採用説明会など公開日が決まっている場合は、その日から逆算し、遅くとも3か月前には相談を始めると余裕を持って進められます。

動画制作を外注する前に準備しておきたいこと

制作会社に問い合わせる前に、社内で整理しておくと話が早く進む項目があります。すべてが決まっていなくても構いません。方向性だけでも伝えられれば、提案や見積もりの精度が上がります。

動画の目的と見てほしい相手を言葉にする

最初に決めたいのは「この動画を見た人に、どう動いてほしいか」です。同じ会社紹介動画でも、採用説明会で学生に見せるのか、商談で取引先に見せるのかによって、伝える内容も雰囲気も変わります。

目的が「採用の応募を増やしたい」なら、職場の雰囲気や社員の人柄が伝わる構成が向いています。「新しい取引先から信頼を得たい」なら、設備や実績、品質管理の様子を見せる構成が合います。目的と見てほしい相手を一文で言えれば、問い合わせの段階では十分です。

予算と公開したい時期を決めておく

予算の上限が分からないと、制作会社はどの規模で提案すればよいか判断できません。「〇〇万円以内」のように幅を持たせた伝え方でもよいので、社内で使える金額の目安を確認しておきましょう。

動画を公開したい時期や、使う予定のイベントの日程もあわせて伝えます。公開時期が分かれば、制作会社はそこから逆算してスケジュールを組めます。予算の考え方や費用の内訳については、動画制作の費用相場と内訳を解説した記事をご覧ください。

参考動画と社内にある素材を集める

「明るい雰囲気で」「かっこよく」といった言葉だけでは、受け取る人によってイメージがずれます。他社の動画やYouTubeで見た映像から、雰囲気やテンポが近いものを2〜3本選んでおくと、完成イメージを具体的にすり合わせられます。

ロゴデータや会社案内のパンフレット、過去に撮影した写真や映像も、使えるものがあれば集めておきます。手元の素材を活用できれば、撮影の範囲を絞り、費用を抑えられる場合があります。

社内の窓口と最終決裁者を決める

動画制作の手戻りでよくあるのが、確認の途中で決裁者が変わる、別の部署から後になって意見が出る、といったケースです。初稿まで進んだ段階で「社長に見せたら方向性が違うと言われた」となれば、構成から作り直すことになりかねません。

制作会社とやり取りする担当者を一人に決め、最終的に誰が承認するのかを最初に確認してください。決裁者には構成案の段階で一度目を通してもらうと、手戻りを防げます。

動画制作を依頼する前に整理しておきたい目的・ターゲット・予算などの準備項目一覧

動画制作の依頼から納品まで、工程ごとの進め方

7つの工程それぞれで、制作会社が何を進め、発注側が何をするのかを解説します。自社の役割を把握しておけば、確認や判断の遅れで制作全体が止まる事態を防げます。

問い合わせ・ヒアリングで伝えること

問い合わせの後、制作会社との打ち合わせ(ヒアリング)を行います。ここで、事前に整理した目的、見てほしい相手、予算、公開時期、参考動画を共有します。

動画を公開する場所も、このタイミングで伝えます。自社サイトに載せるのか、展示会のモニターで流すのか、InstagramやTikTokで配信するのかによって、動画の長さや画面の縦横比が変わるためです。複数の媒体で使う予定があれば最初に伝えておくと、後から別バージョンを作る手間と費用を減らせます。

企画提案と見積もりで確認すること

ヒアリングの内容をもとに、制作会社から企画の方向性と見積もりが出てきます。複数の会社に相談している場合は、金額だけでなく、提案の中身が自社の目的に合っているかで比べてください。

見積もりでは、撮影日数、撮影スタッフの人数、修正回数、ナレーションやBGMの有無など、金額に何が含まれているかを確認します。「一式」とまとめて書かれている場合は内訳を出してもらうと、どこから追加費用が発生するのかが分かります。

相見積もりは2〜3社程度に絞るのが現実的です。依頼先が多すぎると、各社のヒアリングで同じ説明を繰り返すことになり、担当者の負担が大きくなります。各社に伝える条件がそろっていなければ、見積もりの金額も正しく比べられません。目的や予算、公開時期をまとめた資料を作り、どの会社にも同じものを渡すと、提案の違いが見えやすくなります。自社と近い業種や目的の制作実績を見せてもらうと、その会社に任せた場合の仕上がりも想像しやすくなります。

契約・発注の前に取引条件を書面にする

内容と金額に納得できたら、契約を結んで正式に発注します。制作内容、金額、納期、修正回数、支払い条件、納品形式などを契約書や発注書に明記しておけば、認識の違いによるトラブルを防げます。

依頼先が制作会社ではなく、従業員を雇っていない個人のクリエイターであれば、法律上の義務も関わります。2024年11月に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス法)では、事業者がフリーランスに業務を委託した場合、業務の内容や報酬の額、支払期日などの取引条件を、書面またはメールなどで直ちに明示しなければなりません。口頭で伝えただけでは義務を果たしたことになりません。詳しくは後の章で解説します。

構成案・絵コンテの確認が品質を左右する

契約後、制作会社が動画の構成案や絵コンテを作成します。構成案は、どの場面で何を映し、どのようなナレーションやテロップを入れるかをまとめた、動画の設計図です。

発注側にとっては、この構成案の確認が最も重要な判断の場です。撮影が終わってから「この場面も入れたかった」と気づいても、撮り直すには追加の費用と日程が必要になります。構成案の段階なら、紙の上で直せます。決裁者にもこの段階で確認してもらい、伝えたい内容に漏れがないかを見てください。

撮影の準備と当日に発注側がやること

実写の動画では、構成案に沿って撮影を行います。撮影の前には、ロケ地の下見(ロケハン)、出演する社員のスケジュール調整、撮影場所の使用許可の確認などを進めます。

撮影当日は、発注側の担当者もできるだけ立ち会ってください。社内の事情に詳しい人がいれば、映ってはいけない書類やホワイトボードに気づけますし、インタビューの話がそれたときにも軌道修正できます。工場や店舗のように普段は関係者しか入らない場所で撮影するなら、安全上のルールを事前に制作会社へ伝えておきます。

インタビューに慣れていない社員が出演する場合は、質問の内容を事前に渡しておくと、当日落ち着いて話せます。ただし、回答を一字一句書いた原稿を読み上げる形にすると、表情も声も硬くなりがちです。話す要点だけを本人に考えておいてもらい、当日は会話するように答えてもらうほうが、その人らしさが映像に出ます。

編集・修正は「まとめて・具体的に」伝える

撮影した素材をもとに制作会社が編集し、初稿を提出します。ここから修正のやり取りが始まります。

修正を伝えるときは、社内の意見を担当者がとりまとめ、一つのファイルにまとめて送るのが基本です。部署ごとにばらばらに連絡すると、指示が食い違って作業が止まることがあります。「全体的にもう少し明るく」ではなく「1分20秒あたりのテロップを『〇〇』に変更」のように、時間と内容を具体的に伝えれば、修正の回数を減らせます。初稿はパソコンだけでなく、実際に公開するスマートフォンでも再生して確認してください。縦型の動画では、テロップが画面の端で切れていないかも見ておきます。

納品データと公開後の使い方を確認する

最終確認が終わると、完成した動画が納品されます。データの形式や解像度、縦型・横型などのバージョン、字幕の有無が契約どおりかを確かめてください。撮影した素材データを制作会社がいつまで保管するのかも、あわせて聞いておくと安心です。翌年に内容を更新したくなったとき、素材が残っていれば撮り直さずに再編集で対応できる場合があります。

公開した後は、どの媒体でどれくらい再生されたか、問い合わせや応募につながったかを確認します。その結果を次の動画の企画や公開先の見直しに生かすことで、制作費が成果につながっていきます。

動画制作の外注で失敗しないための契約・権利のポイント

動画制作の外注では、完成後に「この動画を別の用途に使えない」「支払いの条件で揉めた」といった問題が起きることがあります。いずれも、契約の段階で決めておけば防げる問題です。

著作権の帰属と二次利用の範囲を契約書で決める

会社紹介動画などの映像は、一般に著作権法上の「映画の著作物」にあたります。著作権法第29条第1項は、映画の著作物の著作者が映画製作者(製作に発意と責任を持つ者)に対して製作への参加を約束している場合、著作権は映画製作者に帰属すると定めています。制作会社が企画から撮影・編集までを担い、契約で権利の扱いを決めていなければ、著作権は制作会社側にあると判断される可能性があります。

その場合、Webサイト用に作った動画を展示会や広告に転用したい、一部を切り出してSNS用の短い動画にしたい、といった場面で、改めて制作会社の許諾が必要になることがあります。著作権を発注側に譲渡するのか、制作会社に残したまま利用を許諾するのか、どの媒体でどの期間使えるのかを、契約書に明記してください。

著作権を譲渡してもらう場合にも注意点があります。著作権法第61条第2項では、譲渡契約で第27条・第28条の権利(動画を編集し直すなどの翻案に関わる権利など)が譲渡の対象として明記されていないと、これらの権利は譲渡した側に残ったものと推定されます。動画を後から再編集する可能性があるなら、これらの権利も含めて譲渡すると契約書に書いておく必要があります。文化庁は、著作物の創作や利用を職業としない人でも契約書を作れる「著作権契約書作成支援システム」を公開しており、契約内容を検討する際の参考になります。

出演者の映像やBGMの利用範囲も確認する

社員が出演する動画では、その社員が退職した後も動画を公開し続けてよいかが問題になることがあります。撮影前に、出演する社員から動画の利用目的と公開期間について同意を得ておくと安心です。

BGMや写真素材、イラストを制作会社が購入したライセンスで使っている場合、使える媒体や期間が限られていることがあります。テレビCMやWeb広告に転用する予定があれば、素材のライセンスがその用途にも使えるかを制作会社に確認してください。

フリーランスに依頼するときは取引条件の明示が義務になる

個人のクリエイターに動画制作を依頼する場合は、前述のフリーランス法の義務を必ず確認してください。

公正取引委員会によると、フリーランスに業務を委託した事業者は、業務の内容、報酬の額、支払期日、委託した日、成果物を受け取る日や場所など9つの事項を、書面またはメールやSNSのメッセージなどで直ちに明示しなければなりません。従業員を使用する事業者であれば、報酬の支払期日を成果物の受領日から60日以内のできる限り短い期間で定め、その期日までに支払う義務もあります。1か月以上の業務を委託する場合は、受領拒否や報酬の減額、費用を負担せずにやり直しをさせることなども禁止されています。

公正取引委員会は法律の施行以降、違反への対応を進めています。2025年12月には、放送業と広告業の事業者を集中的に調査し、128名の事業者に指導を行ったと公表しました。報道によると、テレビ番組制作会社が撮影や映像編集を委託した相手への報酬を期日より後に支払った事例も含まれています。2026年6月に公表された令和7年度の運用状況では、指導が1,542件、勧告が10件にのぼり、違反の類型では「期日における報酬の支払義務違反」と「取引条件の明示義務違反」がそれぞれ1,100件を超えていました。撮影や編集を個人に委託する場面が多い動画制作では、発注の時点で条件をメールなどの記録に残すことが欠かせません。

動画制作や動画マーケティングのご相談は株式会社um.へ

動画制作の仕上がりは、依頼前の準備と、構成案の段階での合意によって大きく変わります。目的の整理から契約内容の確認まで、初めての発注で社内だけで進めるのが難しい場合は、制作会社と一緒に考えるのが近道です。

株式会社um.は、横浜・東京を拠点に、企画から撮影、編集までを一貫して手がける動画制作会社です。会社紹介動画や採用動画、プロモーション動画、MVなど、目的に合わせた動画をご提案しています。「何を作ればよいか決まっていない」「動画を集客や採用にどう生かせばよいか分からない」という段階でも、お気軽にご相談ください。動画制作や動画マーケティングについてのお問い合わせは、株式会社um.のお問い合わせフォームから受け付けています。


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