不動産の動画制作費用と相場|ルームツアー・採用動画で集客と採用を強くする

ルームツアー動画を1本つくる費用は、中小規模の不動産会社が依頼する内容なら、数万円から十数万円がひとつの目安です。採用動画は撮影の規模によって、20万円台から100万円前後まで幅があります。

ただ、金額だけで高い安いを決めるのは早計です。その動画がいくつの問い合わせにつながり、何人の応募を呼び込むかによって、同じ10万円でも価値はまったく違ってきます。

この記事では、まず不動産の動画制作費用の目安と、見積もりが上下する理由を整理します。そのうえで、リクルートの賃貸契約者動向調査、総務省のメディア利用調査、厚生労働省の労働経済動向調査(2026年8月)のデータから、不動産会社がいま動画に取り組む理由を確認します。後半では、ルームツアー・採用・売却相談という3種類の動画の使い方と、宅地建物取引業法を踏まえた注意点を紹介します。

不動産の動画制作費用の相場|ルームツアー・採用動画の料金目安

不動産会社が依頼する動画は、物件を見せる動画と、会社や人を見せる動画の2つに分かれます。物件の動画は単価が低く本数が多くなります。会社や人の動画は、1本に予算をかけて長く使うのが一般的です。

種類別に見る不動産の動画制作費用の目安

中小規模の不動産会社が制作会社に依頼する場合の、種類別の費用目安は次のとおりです。

動画制作の予算帯と実現しやすい動画の目安(10万円〜300万円以上)

ルームツアーは1本ずつ頼むより、同じエリアの物件をまとめて撮ったほうが、1本あたりの単価を下げやすくなります。賃貸仲介のように物件の入れ替わりが早い会社なら、まとめ撮りを月1回の定例にしておくと、費用の見通しも立てやすくなります。

採用動画は、社員インタビューだけで組み立てるか、仕事の様子まで撮るかで金額が大きく変わります。応募者が知りたいのは、どんな人とどんな一日を過ごすのかという点です。予算に余裕があれば、職場の風景まで入れたほうが伝わる情報は増えます。

自治体の公募データで見る不動産関連動画の費用の上限感

民間の動画制作料金には、公的な統計がありません。そこで、自治体が公募した動画制作業務の予算額を、上限の目安として見ておきます。

埼玉県は2025年度、空き家の適正管理を呼びかけるPR動画の制作業務を公募し、予算額を税込288万円としました。この金額には動画の制作に加えて、情報発信業務も含まれています(出典5)。仙台市が2026年度に公募した職員採用PR動画の制作業務は、委託上限額が税込272万3,000円でした(出典6)。

企画から撮影、編集、発信までを一括で発注する行政案件で、200万円台後半という水準です。中小の不動産会社がルームツアーや採用動画を個別に依頼するのであれば、図1のとおり、これよりずっと小さな予算から始められます。

不動産の動画制作費用を左右する要素と見積もりの見方

同じルームツアー1本でも、見積もりが3万円の会社もあれば15万円の会社もあります。差がどこから生まれるのかを知っておけば、見積もりを比べるときに迷わずに済みます。

撮影条件で変わる不動産動画の制作費用

不動産の撮影で費用に響きやすいのは、撮影できる日時の制約です。入居中の物件や売主が住んでいる物件では、撮影日を相手の都合に合わせなければなりません。日当たりを見せたい部屋は、撮影する時間帯も選ぶ必要があります。日程が分散するほど移動や待機の時間が増え、その分が費用に跳ね返ります。

外観や周辺環境を空から見せるドローン撮影は、オプション料金になるのが一般的です。空撮に対応しているか、必要な手続きまで任せられるかは、依頼の前に確認しておきましょう。

見積もりで確認したい編集と納品の範囲

金額の差がもっとも出やすいのは編集です。テロップの量、BGMやナレーションの有無、修正の回数によって、作業時間は大きく変わります。

見落としやすいのが納品の形式です。ポータルサイトに載せる横型と、InstagramやTikTok向けの縦型では、画面の比率が違います。両方の形式で納品してもらえるかどうかで、同じ撮影素材から作れる動画の本数が変わります。安く見えた見積もりが、実は縦型1本だけの納品だったということもあります。本数と形式をそろえたうえで比べてください。

不動産会社に動画制作が必要な理由|公的データで見る住まい探しと採用の変化

費用をかけてまで動画を作る意味はあるのか。物件を探す人の行動と、不動産会社の採用環境の両面からデータを確認します。

賃貸契約者の約4割がオンライン内見を利用している

リクルートのSUUMOリサーチセンターが2025年10月に公表した「2024年度 賃貸契約者動向調査(首都圏)」によると、オンラインで内見をした人は37.4%で、2020年度以降で最も高い割合になりました。オンラインで不動産会社を1店舗以上訪問した人も37.9%にのぼります。一方、実際に見学した物件数は平均2.6件でした(出典1)。

自治体による動画制作等の業務委託実績一覧

お客様が現地に足を運ぶのは2〜3件です。その数件に入れるかどうかは、画面の中で物件と会社がどう見えるかで決まります。

制度面でも、非対面のやりとりが広がっています。2022年5月18日から、重要事項説明書などの書面を電子データで交付できるようになりました(出典2)。オンラインで行う重要事項説明(IT重説)とあわせて、来店しないお客様に物件や会社の様子を伝える手段として、動画の重要性は高まっています。

YouTube利用率81.5%、動画で調べる行動は年代を問わない

総務省情報通信政策研究所が2026年6月に公表した調査によると、13歳から79歳の1,800人のうち、YouTubeの利用率は81.5%、Instagramは54.8%、TikTokは36.7%でした。平日のインターネット利用時間は平均183.9分で、テレビのリアルタイム視聴の156.1分を上回っています(出典3)。

単身向けの賃貸を探す20代も、相続した実家の扱いに悩む60代も、日常的に動画を見ています。動画での情報発信は、もう若い世代だけを狙った施策ではありません。

人を増やしたい不動産会社にとって採用動画は強い武器になる

厚生労働省が2026年9月29日に公表した労働経済動向調査(2026年8月)では、不動産業・物品賃貸業で正社員が「不足」と答えた事業所は43%でした。「不足」から「過剰」を差し引いた過不足判断D.I.は42ポイントです。全産業の47ポイントよりは低いものの、5月調査の36ポイントから6ポイント上がっています(出典4)。

【図3:不動産業・物品賃貸業の正社員等労働者過不足判断D.I.の推移(記事末に図版あり)】

注目したいのは、正社員を増やす動きの強さです。同じ調査で、7〜9月期に正社員が「増加」した事業所の割合から「減少」の割合を引いた雇用判断D.I.は、不動産業・物品賃貸業がプラス12ポイントでした。これは学術研究、専門・技術サービス業と並んで、調査した産業の中で最も高い値です。人手不足への対応として、不動産業・物品賃貸業の77%の事業所が中途採用の強化を挙げています(出典4)。

人を増やしたい会社が多いということは、求職者から見れば選択肢が多いということでもあります。求人票に並ぶ給与や休日だけでは、他社との違いはなかなか伝わりません。職場の雰囲気や一緒に働く人を見せられる採用動画は、この競争の中で選ばれるための手段になります。

不動産の動画制作で作るべき動画の種類|ルームツアー・採用・売却相談

目的によって、作るべき動画は変わります。中小の不動産会社で効果が出やすい3種類を紹介します。

不動産のルームツアー動画で内見前の見極めを手伝う

写真で伝わりにくいのは、部屋どうしのつながりと広さの感覚です。玄関からリビング、キッチンから洗面所へと実際に歩くように撮れば、生活動線がひと目でわかります。窓からの眺め、収納の奥行き、共用部の様子も、動画なら一続きで見せられます。

お客様は内見の前に候補を絞り込めるので、行ってみたら違ったというムダ足が減ります。営業担当も、成約の見込みが高いお客様の案内に時間を使えるようになります。

不動産の採用動画で職場のリアルを伝える

不動産の仕事に、休みが取りにくい、ノルマが厳しいといったイメージを持つ人は少なくありません。その先入観をほどくには、文字より映像が向いています。

若手社員が一日の流れを話すインタビュー、先輩とお客様を案内する場面、店舗での何気ないやりとり。こうした映像があれば、職場の空気がそのまま伝わります。資格取得の支援制度や休日の取り方も、実際に使っている社員が話すと説得力が違います。入社前に実態を知ってもらえるので、入社後のミスマッチを防ぐ効果も期待できます。

不動産の売却相談動画で売主との接点をつくる

不動産会社の仕事は、売りたい人や貸したい人がいて初めて成り立ちます。それなのに、物件を探す人向けの動画に比べて、売主向けの動画は後回しにされがちです。

行政は、空き家の所有者に向けた発信に動画を使い始めています。先ほど紹介した埼玉県の公募では、現在の空き家所有者や、将来建物を相続する可能性がある中高年層を対象に、売却や賃貸といった早めの対応が有効だと伝えるよう求めていました(出典5)。

「相続した実家をどうすればいいのか」「査定はどう進むのか」。こうした疑問に代表やスタッフが自分の言葉で答える動画は、売主が相談先を選ぶときの判断材料になります。地域の買い物環境や通学路を紹介するエリア動画とあわせて発信すれば、地元をよく知る会社であることも伝わります。

不動産の動画マーケティングで成果を出す運用と広告ルール

動画は公開してからが本番です。続けられる体制のつくり方と、不動産会社として守るべきルールを整理します。

外注と自社撮影を組み合わせた不動産動画の運用

物件動画をすべて制作会社に頼むと、物件の入れ替わりに費用が追いつきません。現実的なのは、採用動画や会社紹介動画、ルームツアーの見本になる動画はプロに任せ、日々の物件紹介は自社のスタッフがスマートフォンで撮る方法です。

【図4:不動産動画のハイブリッド運用の流れ】

最初に制作会社と一緒に、撮る順番、カメラの高さ、尺、テロップの入れ方を決めておけば、担当者が替わっても品質を保てます。動画経由の問い合わせ数や内見予約数、採用動画なら応募数を記録しておくと、次にどの動画へ予算を回すべきかが見えてきます。

宅地建物取引業法と公正競争規約を踏まえた不動産動画の注意点

不動産の広告は、動画であっても宅地建物取引業法の規制を受けます。同法32条は、物件の所在、規模、形質、環境、交通の利便、代金などについて、著しく事実と違う表示や、実際より著しく優れている・有利だと誤認させる表示を禁じています。売るつもりのない好条件の物件で客を集める「おとり広告」も、この誇大広告等に当たります(出典7)。

これに加えて、不動産公正取引協議会が運用する「不動産の公正競争規約」があります。景品表示法に基づいて認定を受けた業界の自主ルールで、協議会の加盟団体に所属する会員業者に適用され、違反すると警告や違約金の対象になります(出典7)。

動画の場合、広角レンズで部屋を実際より広く見せる撮り方や、別の部屋の映像を流用する編集は避けるべきです。成約した物件のルームツアー動画をYouTubeやSNSに残し続けるのも危険です。取引できない物件で客を集めていると受け取られかねません。成約したら非公開にする、概要欄に成約済みと明記するといったルールを、運用を始める前に決めておきましょう。

不動産の動画制作・動画マーケティングの相談は株式会社um.へお問い合わせください

株式会社um.は、横浜を拠点とするクリエイティブプロダクションです。企画・構成から撮影、編集まで一貫してお手伝いしています。

ルームツアー動画のまとめ撮り、採用動画、売却相談や会社紹介の動画、InstagramやTikTok向けの短尺動画まで、貴社の予算と目的に合わせてご提案します。居住中物件の撮影日程の調整や、自社スタッフで撮影を続けるためのルールづくりもお任せください。

「ルームツアーを1本だけ試したい」「採用動画にいくらかかるか知りたい」という段階でも構いません。不動産の動画制作や動画マーケティングのご相談は、株式会社um.までお気軽にお問い合わせください。


出典
  1. リクルート SUUMOリサーチセンター「2024年度 賃貸契約者動向調査(首都圏)」 https://suumo-research.com/work/resident-insights/resident-insights-1712/ /調査報告書PDF https://www.recruit.co.jp/wp-content/uploads/2025/11/20251010_EDQP2Q_01.pdf
  2. 国土交通省「ITを活用した重要事項説明及び書面の電子化について」 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk3_000184.html
  3. 総務省「令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」の公表(2026年6月26日) https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01iicp01_02000130.html
  4. 厚生労働省「労働経済動向調査(令和8(2026)年8月)の概況」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/2608/ /結果の概要 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/2608/dl/4kekkagaiyo.pdf
  5. 埼玉県「空き家の適正管理の普及・啓発PR動画作成業務及び情報発信業務 公募型企画提案競技実施要領」 https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/272186/010zisshiyouryou.pdf /同仕様書 https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/272186/020shiyousyo.pdf
  6. 仙台市「令和8年度仙台市職員採用PR動画制作業務に係る公募型プロポーザルの実施について」 https://www.city.sendai.jp/ninyo/r8saiyouprdouga.html
  7. 和歌山県「不動産広告について」 https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/080800/takken/koukoku.html