【表現者】鮫島 弓起雄

鮫島 弓起雄さんプロフィール

2010年に東京造形大学の彫刻科を卒業後、教職経験や長期海外旅行で4~5年間ほどは制作発表を行わない期間があり、帰国後から本格的に作家活動を開始した。 以来、主に立体作品とインスタレーション作品の制作、発表を続けている。

長期海外旅行を経て改めて、自分のアイデンティティとして切り離すことのできない日本の文化や地域性を認識した。その影響もあり、地震波形をモチーフとしたものや「八百万の神」という神道に通じる考え方を基にした作品、かつて大和絵でよく使われたすやり霞という表現技法を参考にした作品など、それらと関連したものを取り入れた作品を制作している。

常に展示する空間の特性やその現場の持つストーリー、要素を利用して、物理的にもコンセプトの面でもその場と深く関わりほかの場ではできないような作品を展開している。毎回空間に合わせて、使用する素材も制作方法も表現様式も違うものになることが多い。

また、海外からの人々が多く集まる東京において、クリエイティブ界隈の人々が国際的に気軽に集まることのできる場がないのではと思い、都内のアートギャラリー「SYP GALLERY」で、アート系国際交流会「Artist Meetup!」を毎月主催(現在はコロナの影響により中断)。

アーティスト・イン・レジデンスから一歩踏み込んだ新たな滞在の形としてアーティスト・イン・ホームステイを提唱する、日本とメキシコのアート交流プロジェクト「JaM -Artist in Homestay-」の立ち上げと運営に携わる。など、アーティスト同士の個人的かつ国際的な繋がりを探る活動も積極的に行っている。

最近では自身の作品制作以外でも、古くからの石の産地の石材組合から依頼を受けて石を素材とした新プロダクト開発のアイデア提案や、限界集落に近づいていく地方の空き家活用方法の提案とそのデザイン、2011年の地震以来人口減少が深刻となっている被災地エリアの地域振興プログラムの発足に携わるなど、アーティストとしての経験や技術、発想を活かし、地域の持つ課題解決に関わる活動も行っている。